退職代行という言葉を聞いて具体的にどのような仕組みでサービスが成立しているのかイメージできますか?
もしかしたら、なんとなくその文字面からどんなサービスを行っているのかは想像できるけど、自分ではない第三者が本人に代わって退職を代行することなんてできるのか疑問に思っている人もいるかも知れません。
また、どのような経緯で自分以外の第三者が退職を代行するのか気になりますよね?
この記事では、そんな退職代行サービスの仕組みについて最低限押さえておいたほうが良い基礎知識について解説します。
退職代行サービスという言葉をはじめて知った方でも、サービスの概要は理解できます。
退職代行業者の仕事はシンプル!
退職代行サービスを提供している会社は、退職代行業者と呼ばれることが多いようです。
当サイトでも退職代行業者という言葉を使っています。
退職代行業者の業務はとてもシンプルです。
しかし、世の中で絶対的に必要とされるサービスではありません。
決して難しい特殊技術や特別なサービスを提供しているわけではないということはすぐにわかるでしょう。
「本当は会社を辞めたいけれど、なんらかの事情を抱えていて自分から退職の意思を会社側に伝えることが困難」という人が、会社に出向くことなく、上司や職場の人間と一切顔を合わせずに退職できるサービスを提供するのが退職代行業者の主な仕事です。
なので、退職代行サービスは、世の中のとてもニッチな需要を満たす仕事だと言えるでしょう。
依頼者と会社の間に入って退職をサポートする仕組み
退職代行サービスは、退職代行を依頼した人から事情や要望を聞いた後、業者側が本人に代わってできる限り希望に沿った形で退職の連絡を会社側にするという非常にシンプルな仕組みとなっています。
退職代行の依頼者が、代行費用を支払ったらすぐに対応してくれるため、事情があって会社を辞め難い場合でも手軽に利用できます。
本人が会社に退職の意思を告げるよりも、専門業者が代行した方が第三者ということもあり、引き止めや弱みにつけ込まれることもなく、スムーズに退職できる場合も多いようです。
退職代行サービスでできること・できないこと
退職代行サービスにもできることとできないことがあります。
どこまでのサービスを提供できるかは退職代行業者によって異なるため、一概には言えませんが、基本的には本人に代わって会社に退職の意思を告げ、退職届や必要な書類の作成については依頼者が行うといった場合がほとんどです。
また、給与の未払いや残業代請求、有給休暇の消化などについて退職代行サービスが行うのは、あくまで本人が希望しているという旨を連絡するだけであり、会社との交渉ができるのは弁護士に限ります。
退職代行サービスによっては、会社側との交渉が必要な場合は弁護士が対応する業者もありますが、とくに利用料金の安い退職代行サービスでは交渉は行なっていない場合がほとんどです。
多くの退職代行サービスでは、弁護士法違反にならないように弁護士が業務を監修・指導しています。
退職代行サービスの運営会社とは?
退職代行サービスの運営会社については、主に退職代行を専門的に行なっている会社や人材会社などがひとつのサービスとして取り組んでいるケースがあります。
また、弁護士事務所が退職代行サービスを専門的に提供している場合もあります。
非弁行為に当たらないように弁護士や行政書士が、業務を監修・指導している業者のサービスを利用するというのがひとつの基準です。
中には法人ではなく、個人事業主が退職代行サービスを行っているケースもあるようですが、この場合、当然ですが信頼性は低いと言えるでしょう。
なぜ退職代行が成立するのか?
退職代行サービスが知られるようになってからまだ日が浅いかも知れませんが、実はこのようなサービスというのは以前からありました。
退職代行サービスといった形で専門分野に特化したものではありませんが、弁護士事務所の業務の一環として会社を辞めたいけれど辞められない状況で困っている人の相談を扱うといったケースです。
しかし、退職代行を弁護士事務所に依頼すると相談も有料、着手金と報酬を合わせて数十万円といった費用がかかります。
もちろん、会社側と交渉が必要な場合はそれでも仕方ありませんが、高い費用を支払って弁護士に退職代行を依頼しても、会社側とは何の交渉もなく、弁護士が本人に代わって退職の意思を連絡するだけで終わるケースも多々あるようです。
とくに会社側と法律的な交渉をする必要もなく、本人に代わって退職の意思を会社に連絡したり、退職完了までのサポートをするだけならば、弁護士に数十万円という費用を支払わなくてもできることに目をつけたのが退職代行業者です。
とてもニッチなニーズではありますが、退職代行サービスの登場によって、これまで弁護士事務所に相談して数十万円も支払っていた人たちの負担はかなり軽くなりました。
ニッチとはいっても昨今では以下のような社会問題もあるため、退職代行サービスも需要と供給がマッチしてひとつの業界として成立しているといった状況です。
- ブラック企業に勤めていて辞められない人
- 上司のパワハラ・モラハラ・セクハラなどによって追い詰められて、怖くて退職を切り出せない人
- 転職したいけど現在の会社を辞め難い人
- うつ病で休職中だけど本当は退職したい人
- 人手不足で会社側が退職を認めてくれない人
上記のような「本当は会社を辞めたいのに辞められない事情」を抱えている人たちが増えれば、退職代行サービスの需要も高まることでしょう。