就職や転職活動においてブラック企業を回避するには、ある程度の目利きが必要です。
目利きというのは、物事の真偽・良否を見分ける鑑定眼のことで、ここでは「人を見る目」や「正しい判断力」も含めて考えます。
会社組織とはいえ、経営しているのは人間ですし、そこではさまざまな人たちが働いていますからね。
会社の人間の言動をどのように捉えるかが、ブラック企業の見分け方にもつながるというわけです。
しかし、一般的に語られるいわゆるブラック企業の見分け方は、残念ながら絶対的なものではありません。
はたしてどこまで有効だといえるでしょうか?
今後、就職や転職活動の予定があったり、現在、ブラック企業に勤務しているのであれば、この記事をひとつ参考にしてみてください。
ブラック企業かどうかを判断する基準となる情報
一般的に言われるブラック企業の見分け方は、主に以下の3つの情報から判断する場合がほとんどです。
ブラック企業を見極める判断材料
- 求人情報
- 会社説明会
- 面接
上記はいずれもその会社で採用されるまでの通過点となっています。
また、会社説明会については企業によっては開催されません。
直接、企業で働く人間と双方でのやりとりができる場は、面接のみだったりします。
つまり、求人情報や会社説明会の段階でその会社がブラック企業かどうかの判断がつかない場合は、最終的に面接で見分けることになるということです。
では、もう少しくわしくそれぞれの見分け方について掘り下げていきましょう。
求人情報からブラック企業を見極める方法
会社の求人情報だけでブラック企業を見極めるのは、なかなか難しかったりします。
求人案内というのは、ブラック企業でなくても会社側が従業員を確保するために多少は事実と異なる条件を提示する場合もありますし、紙面の都合上、どうしても情報が不十分になってしまうこともあるからです。
求人によっては、詳細な情報を得るには担当者に直接問い合わせないと教えてくれない企業もあったりします。
以上を承知のうえ、求人案内からその会社がブラック企業かどうかを判断するポイントとなるのは、以下のような情報です。
ブラック企業の求人情報
- 労働時間・勤務時間(残業はどれくらい?)
- 給与(残業代が含まれている?)
- 業務内容(ノルマなど)
- 雇用形態(正社員か契約社員か?トライアル期間の有無など)
- 有給休暇について
ブラック企業はどうしても離職率が高くなるため、採用条件を低く設定していたり、即採用や大量採用を謳って入社のハードルを意図的に下げるといった特徴があるので、求人案内には誇張気味の労働条件や高収入が記載されている可能性が高いと考えてよいでしょう。
たとえば、勤務時間や労働時間は労働基準法に抵触しない範囲で提示していても、実際に入社してみると毎日長時間労働を強いられたり、求人案内に掲載されていた高収入を期待していたら、実はその金額には1ヶ月フルで残業したときの残業代が含まれていたりなんてこともあるようです。
基本給は低賃金で、過労死ライン(月80時間)ギリギリまで働かないと求人情報に記載されていた給料がもらえないなんて酷な話ですが、こういった事例は世の中に多々あります。
残業代が基本給に含まれている場合、求人情報だけではわかりにくかったりするので、できれば会社側に問い合わせて詳細を聞き出したほうがいいかも知れませんね。
また、年俸制の場合も残業代が含まれた金額が求人情報に記載されていることがあるので気をつけましょう。
ほかにもくわしい業務内容に触れず、フワフワとした会社のビジョンだったり、経営者の仕事に対する情熱が一方的に語られている求人案内なんかもたまにありますが、そういった会社は精神論や根性論を押し付けてくる可能性も考えられるので要注意です。
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ブラック企業の特徴とは?
ブラック企業による過労死や長時間労働、そして理不尽なパワハラや職場いじめといった問題がたびたびマスコミなどに取り上げられるようになった昨今ではありますが、中には自分の勤めている会社がブラック企業だとい ...
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雇用形態については、正社員を募集しているのにトライアル期間中はとりあえず契約社員として採用されて、その後もずっとそのままという場合もあるようです。
求人情報だけでは、このような細かい部分まではわからないことも多いので、少しでも疑問点があるなら企業の担当者に問い合わせたほうがよいでしょう。
そして、求人情報と一緒にブラック企業リストもチェックすることをお勧めします。
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ブラック企業リストの使い方
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会社の説明会に参加する
企業によっては会社の説明会を開催していますが、ブラック企業の説明会にはいくつか特徴があったりします。
ブラック企業による会社説明会の特徴
- 豪華なホテルが会場
- 登壇者が大きな夢を語る
- 怪しい自己啓発セミナーのような雰囲気
- 説明が漠然としていて具体的な業務やコンプライアンスについての説明がほとんどない
- 入社するとどんなに素晴らしい人生が待っているかを力説する傾向
- 抽象的な話ばかりで胡散臭い
ブラック企業の特徴のひとつとして、採用されやすいというものがありましたよね?
ブラック企業は、会社説明会を豪華なホテルで開催することによって、参加者に対して少しでも「この会社で働きたい!」と思わせるような演出を仕掛けたりします。
登壇者が大きな夢や会社のビジョンを雄弁に語るのも演出だったりするわけです。
会社の理念に共感して、実際に入社してみたら長時間労働で低賃金という悲惨な状況に陥ってしまう人もわりと多いようなので、気をつけましょう。
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面接でブラック企業を見分ける
ブラック企業の社員と直接、話ができて自分の思ったことを質問できる場として面接は利用できます。
しかし、求人情報や会社説明会の段階でブラック企業を見極めることができていれば、最終段階の面接まで進むことはありません。
面接の段階に来ているということは、まだその会社がブラック企業かどうか適切な判断ができていないか、もしくは入社しても問題ないと判断している状況だということです。
面接でその会社がブラック企業かどうかを見分ける際に重要なのは、質問です。
一通り相手の質問に答えたら、自分が疑問に思っていることをできるだけ具体的かつ詳細に質問してみて、その返答や態度で判断するとよいでしょう。
たとえば、以下のような質問です。
面接時に質問すること
- 給与には残業代が含まれているかどうか?
- みなし残業は含まれていないか?
- 残業は月にどれくらいあるのか?
- 裁量労働制は採用されているか?
- 離職率はどれくらいか?
- 試用期間の雇用形態について
- 有休消化率について
- 昇給について
また、面接ではブラック企業にとって都合の悪い労働法について少しくわしい素ぶりを見せておくのも効果的だったりします。
表面的な情報だけでブラック企業を見抜くのは難しい
一般的に言われているブラック企業の見分け方として、以下の3つに注目してみました。
- 求人情報
- 会社説明会
- 面接
いずれもブラック企業を見分けるうえで重要なポイントを押さえてはいると思います。
しかし、それでもブラック企業を的確に見分けるのは難しかったりします。
その理由は以下のとおりです。
公開されている情報や面接だけでブラック企業を見分けるのが難しい理由
- 詳細な労働環境までは実際に入社してみないとわからない
- 配属される部署や上司との相性は入社してみないとわからない
- 表向きはホワイト企業でも配属された部署が部分的にブラック化している可能性も考えられる
- 職場の人間関係までは求人情報や説明会、面接ではわからない
- 求人情報や会社説明会、面接時の説明には企業側の人間の主観が含まれている
その会社がブラック企業かどうかは、実際に入社して一定期間働いてみなければわからないことも多いわけです。
求人情報や会社説明会、面接でわかることというのは、あくまでひとつの目安として参考程度に留めておいた方がいいかも知れません。
ある程度の目利きはできても、それは決して完全ではないということを頭の片隅に入れておきましょう。
万が一、ブラック企業に入社してしまった場合は、早い段階で転職を視野に入れて動いたほうが良いかも知れません。
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ただし、転職が決まってもブラック企業はなかなか退職させてくれなかったりするので注意が必要です。
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