薄給・長時間労働、そして過労死といった感じでブラック企業が社会問題として取り上げられることが増えて、厚生労働省による対策が本格化している昨今ではありますが、どういうわけか一向にブラック企業はなくならない・・・というのが実情です。
決してメディアによる報道や政府の取り組みが無意味だというわけではありません。
人々が安心して働ける世の中を実現するためには、ブラック企業の存在は無視できない問題ですからね。
しかし、なぜブラック企業はなくならないのでしょうか?
その理由は、ブラック企業と呼ばれる会社にとって都合の良い仕組みにあるといっても良いでしょう。
ブラック企業が組織としてどのような仕組みで、経済活動を行っているのかを掘り下げて考えることによって、ブラック企業がなくならない理由が見えてきます。
日本の会社はブラック企業ばかり?
ブラック企業といっても、会社の規模は大きなものから小さなものまで様々だったりするわけですが、ブラック企業は比較的中小企業に多いという指摘もあるようです。
日本にブラック企業が多いという事実は、ブラック企業リストをご覧いただければわかりますよね?
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ブラック企業といっても、会社の内情はそれぞれ微妙に違いますが、ざっくりと分類すると以下の2つのパターンが考えられます。
ブラック企業の2つのパターン
- 儲かっているブラック企業
- 儲かっていないブラック企業
上記はいずれも会社の利益を追求するあまり、労働者から不当な搾取を行っています。
企業である以上、売上を上げなければならないのは仕方ありませんが、合理性や施策が行き過ぎてしまうと労働者の人権を脅かすような劣悪な労働環境やイビツな人間関係を生み出すことにもつながるというわけです。
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ブラック企業が儲かる仕組み
ブラック企業の特徴を思い出してみてください。
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上記の関連記事をお読みいただくと、ブラック企業というのは、長時間労働・低賃金・洗脳支配といった会社側にとって都合の良い条件が揃っていることに気づくでしょう。
会社側にとっては、安い給料で黙って言うことを聞いて長時間働いてくれる従業員は好都合ですからね。
また、低賃金で長時間働いてくれる従業員は、人件費の削減にもつながります。
会社にとって人件費というのは、大きなコストです。
儲かっているブラック企業には、人件費という会社にとって大きなコストを最小限に押さえつつ、長時間労働で生産性を高める仕組みが出来上がっています。
非常に言葉は悪いですが、「定額制働かせ放題」といっても過言ではないでしょう。
人件費を極限までカットして、長時間労働で生産性を高めることができれば、会社は儲かりますからね。
会社が儲かっていれば、そうそう潰れることもありません。
これがブラック企業がなくならない理由のひとつでもあります。
会社が儲からなくてブラック企業化する場合も?
企業は利益を追求する必要性に迫られています。
業績が悪いと経営難に陥ってしまいますからね。
業績が悪化した会社は、当然、対策しなければ生き残れません。
そこで、コストの見直しが行われるわけですが、やはりここでも人件費と稼働率は重要です。
業績が悪化した企業にとっては、その状態で利益を増大させるよりも、まずは現状の見直しとしてコスト削減が優先事項だったりしますからね。
コスト削減自体は間違っていないのですが、業績が悪化した企業の余裕のなさが給与や残業代のカット、長時間労働といった施策につながる場合もあるということです。
会社側にとっては、やむを得ない理由なのかも知れませんが、ここでも人件費の削減と生産性向上を狙った業務改善のための長時間労働という施策が、結果的に従業員を追い詰めることになります。
人件費削減と長時間労働が労働基準法や低賃金法に抵触するほどのレベルになると当然、ブラック企業認定されます。
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社員の離職率が高くても一定数勤続する人もいる
ブラック企業では「従業員は使い捨て」と言われることも多いですが、薄給・長時間労働でも会社にしがみつこうとする人たちが一定数存在するため、一時的に人手不足に陥ることはあっても業務自体が回らなくなって倒産するということは考え難いといえるでしょう。
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ブラック企業に勤務している人はなぜ辞めないのか?
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また、ブラック企業は採用のハードルが低いこともあって、新しい人が入社しやすい仕組みになっているため、入れ替わりは激しいけれど常に人材は確保できるようになっています。
実際にブラック企業に入社して毎日つらい思いに耐えているけれど、本音を言えば今すぐに辞めたいという人も多いと思います。
しかし、辞めたくても辞められない人ばかりだったりするのが現状ではないでしょうか?
そんな劣悪な労働環境に慣れてしまった人が下手に出世すると、ブラック化したパワハラ上司が誕生する危険もあります。
たとえブラック企業でも勤続する人が一定数いる限り、完全になくなることはないでしょう。
ブラック企業が大きくなると危険
ブラック企業が業績を伸ばして事業を拡大すると関連会社がいくつも立ち上がります。
親会社であるブラック企業のノウハウが、関連会社や子会社にも引き継がれる可能性は高いといえます。
親会社が実際に業績をあげたノウハウなので、当然といえば当然ですよね?
つまり、ブラック企業の成功事例がさらにブラック企業を増やしてしまうという構図です。
人件費削減と長時間労働によって業績を伸ばした企業が、さらに利益を最大化するために同じような仕組みの関連会社や子会社を設立するという負のスパイラルを生み出す危険もあるということです。
薄給・長時間労働といっても明らかに労働基準法や低賃金法に違反しているならば公的機関に相談して対応してもらえる可能性も高いですが、法律に抵触しないようにギリギリの範囲で従業員を雇用している企業は本当にタチが悪いと思います。
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事件が起こらなければブラック企業認定されない現状
過労死などの事件が起こって大きく報道されない限りは世間からブラック企業認定されないというのも、ブラック企業がなくならない理由のひとつだといえます。
実際に過去にあった例を挙げると、たとえばワタミや電通のように過労死や自殺者が出れば、マスコミにも大々的に取り上げられて会社の実態が明るみに出ますよね?
このように明らかに法律を無視した企業は、指導の対象にもなりやすいわけですが、実際にはギリギリのラインで法律を守っているブラック企業も多いですからね。
また、表向きはホワイト企業だったり、社内の一部の部署だけがブラック化している場合もあります。
こうした一見わかりにくいブラック企業というのが、実はこの日本には一番多いのかも知れません。
ブラック企業がなくならない背景には、こういった現状もあったりするわけです。
ブラック企業は撲滅できない?
昨今では、働き方改革の影響もあって国をあげてブラック企業を撲滅しようといった流れを感じることも増えました。
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しかし、問題視されているのは事件として扱われるようなごく一部のブラック企業だったりします。
ブラック企業問題と向き合い、是正しようという動きには賛同しますが、だからといってすぐにブラック企業がなくなるかというと難しいのではないでしょうか?
実際に労働基準監督署の方でも対応が間に合っていないみたいですからね・・・。
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現状を考えると、ブラック企業撲滅を待つよりも、自分の身は自分で守ることが大事だったりします。
結局のところ、自己責任ということでしょうか・・・?
もしブラック企業に足を踏み入れてしまって抜け出せずにもがいている状態でしたら、無理に自分一人で解決しようとするのではなく、専門の第三者に助けを求めた方が良い場合も多々あります。
会社を辞める前に!
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