その昔、窓際族という言葉が流行りました。
窓際族といわれても、とくに若年層の人たちにとっては馴染みのない言葉かも知れません。
そんな窓際族ですが、実は現代社会にも存在はしています。
窓際族という言葉自体が社内ニートという言葉に置き換えられたり、同義語として捉えられることも多いようですが、時代背景を追っていくと少し違ったりします。
もしかしたら社内ニートよりも窓際族は、将来性もなく、つらい状態かも知れません。
この記事では、現代社会ではすでに淘汰されて死語となった窓際族に目を向けて、社内での1日の過ごし方やリスクについて掘り下げていきます。
「社内ニートがそのまま年だけとってしまったらどうなるか?」という視点でこの記事をお読みいただくと、社内ニートになりたいと思っている人は考えをあらためるキッカケにつながるかも知れません。
窓際族とは?
窓際族とは管理職から外されて、毎日会社に行っても仕事が与えられず、社内の片隅に追いやられた中高年層のことです。
窓際という例えは、仕事もなく、会社の片隅に追いやられて外の景色を1日中眺めて時間をつぶして過ごす光景を意味しています。
参考
窓際族という言葉が使われ始めたのは、70年代後期のことです。
当時はまだ年功序列・終身雇用が常識だった時代で、会社側も実績や能力に関係なく定年まで雇用を続け、社員ひとりひとりにポストを用意しなければならない風潮がありました。
年功序列・終身雇用が前提条件だったこともあり、仕事ができなくても肩書だけを与えて、あえて仕事をさせない社員を抱えている企業もあったようです。
その「あえて仕事をさせない社員」というのが、窓際族だったりします。
年功序列・終身雇用が前提でバブル崩壊前の時代は、会社側も仕事ができないからといってかんたんにリストラできる状況ではありませんでしたからね…
しかし、バブル崩壊後の90年代以降は、企業も年功序列や終身雇用が徐々に維持できなくなり、成果主義が導入され始めた辺りから窓際族はリストラ候補となっていきます。
バブル崩壊後は、追い出し部屋と呼ばれる窓際族専門の部署に配属される人も続出したようです。
追い出し部屋に配属された社員は、以下のように不利な状況に追い込まれます。
- 労働時間の延長
- 賃下げ
- 年俸制の導入による賃下げ
上記をみると、すでにこの当時からブラック企業の基盤は出来上がっていたようにも思えます。
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会社側が合法的に窓際族を解雇するには、会社都合で退職させるのではなく、あくまで従業員側の自己都合退職や懲戒解雇でなければいけないため、あえて自主的に会社を辞めたくなるような不利な状況を作り出し、追い込むという手法が取られたというわけです。
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窓際族と社内ニートの違い
窓際族という言葉が時代の流れとともに使われなくなった代わりに、社内ニートという言葉が主流になりました。
現代社会では、かつての窓際族が社内ニートという言葉に置き換わったと解釈しても良いでしょう。
しかし、厳密にいえば両者の主な違いは以下のとおりです。
窓際族と社内ニートの違い
- 時代背景の違い
- 窓際族は主に中高年層、社内ニートは若年層から中年層まで幅広い
- 社内ニートは転職すれば挽回できる可能性もあるけれど、窓際族は転職にも不利な状況
時代背景についてはバブル崩壊前後が窓際族、2000年以降が社内ニートといった基準で分けて考えるとわかりやすいと思います。
社内ニートという言葉は非常に便利で、幅広い世代が対象ですが、現代ではリストラなどの影響もあって中高年層の窓際族は会社に居座ることが難しくなっているため、社内ニートには比較的若年層が多いといった印象です。
若年層であれば社内ニートになってしまっても、努力次第で転職も十分可能ですし、まだ挽回できる余地はあります。
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しかし、中高年の窓際族は、何の功績もなければ専門的な知識やスキルに乏しく、ただ年だけとっている状態なので転職にも当然不利ですよね?
便宜上、現代では窓際族も社内ニートという言葉に置き換えて語られることが多いですが、あえて区別して考えてみると、その違いは明らかだったりします。
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窓際族の1日のスケジュール
窓際族には、仕事らしい仕事が与えられません。
雑用といえば、かんたんな掃除くらいでしょうか?
窓際族は基本的に毎日出社しても、やることがないので時間をつぶすだけ…というのは社内ニートと同様です。
参考
- ネットサーフィン
- 居眠り
- 仕事をしているフリ
- 雑談
- スマホいじり(動画・音楽・SNSなど)
今の時代だったら、窓際族も上記の関連記事で取り上げたような暇つぶしができます。
しかし、窓際族という言葉がまだ使われていたバブル崩壊前後の時代というのは、会社にパソコンはあっても自由にインターネットを利用することができなかったこともあって、暇つぶしといえば新聞や本を読んだり、それこそ黙って窓の外を眺めてはボーッとするしかなかったわけです。
スマホなんてない時代ですから、現代の社内ニートよりも暇な時間はやることがなくて地獄だったと思います。
当時の時代背景を想像して窓際族の1日を考えてみると、こんな感じでしょうか…?
窓際族の1日の過ごし方
- 朝8:50出社
- 朝9:00朝礼
- 午前中の仕事:オフィスの掃除、資料整理
- 空いた時間は新聞を読んだり、ボーッとするだけ
- 昼12:00昼食
- 13:00~17:30ひたすら暇つぶし、ボーッとする
- 17:30デスクの片付け
- 18:00退勤
- 基本的に残業なし
インターネットに接続できて、なおかつスマホがある現代社会と比べると、当時の窓際族の1日が非常に退屈で長かったことは安易に想像できるでしょう。
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窓際族がつらい理由
窓際族がつらい理由は、なんと言っても以下のようなリスクと常に隣り合わせの状況です。
- リストラ
- 左遷
- 転職に不利
とくに会社にとってお荷物以外何者でもない中高年は、リストラの有力候補だったりしますからね。
また、リストラまではいかなくても、窓際族は左遷される可能性が比較的高いといえるでしょう。
かつての追い出し部屋のように窓際族というのは、会社ぐるみで追い詰められます。
当然、仕事がない状態では実績を上げることができないため、転職するにしても圧倒的に不利です。
つまり、窓際族は路頭に迷う寸前の危険な状態だということです。
若年層中心の社内ニートよりも、窓際族はつらいと思って良いでしょう。
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窓際族になったら?
窓際族になってしまったら、会社ぐるみで自己都合退職に追い込まれます。
常にリストラや左遷の恐怖に怯えながら、転職するにしても不利な状況というのは、もはや地獄といっても過言ではありません。
しかし、そんな絶望的な状況でも、努力次第では窓際族から脱出することも可能です。
現に窓際族がVHSという世界規格を作ったという事例もありますからね。
世界の家庭の風景を劇的に変えたVHSビデオ。開発したのは、窓際族に追いやられながらも夢を捨てなかった技術者たちだった。
引用元:プロジェクトX 挑戦者たち 窓際族が世界規格を作った ~VHS・執念の逆転劇~
上記の事例は昔の話ですが、現在は当時よりもインターネットが普及して一気に情報化が加速しています。
SNSを使えばまったく知らない人との交流もかんたんにできるので、たとえ会社で孤立していたとしても同士を募って何か活動を始めることも可能です。
とくに特定の専門分野に深く精通していたり、会社では役に立たなくても何かしらの技術を持っている人は、ネット上でそれを必要としている人を探して新しい仕事を生み出せるかも知れません。
また成功者の中にも、過去にリストラを経験している人はわりといたりするものです。
年齢的に転職も厳しい場合、窓際族でいられるうちにリストラされても食いつないでいけるように準備はしておいた方が良いでしょう。
とくに以下の2つは重要です。
「まだ20代だし、自分は大丈夫!」なんて思ってダラダラ過ごしていると、かつての窓際族と同じ状況に陥ってしまうかも知れません。
現代では窓際族という言葉と社内ニートは同義語として扱われていますが、両者の境界線をあえて意識してみると危機感も違ってきますよね?
現状から抜け出すために危機感をもつことは重要です。